英文組版で避けるべき3つのルール

英文組版で避けるべき3つのルール

仕事柄、日本で出版された英文書籍や雑誌などを手にする機会が多く、その際、書かれたテーマや中身もさることながら、どうしても編集上のテクニカルな事柄に目が行き、ときおり残念な思いをすることがあります。そこで、きょうは英文の組版 (typesetting; typography) における基本的なルールについて、紹介してみようと思います。

まず、「ウイドー」ということばを聞いたことがありますか。widow、つまり未亡人のことですが、伴侶を亡くして寂しい境遇ということでしょうか。印刷用語では、パラグラフの最後の行がそのページに入りきらず、次のページに押し出され、しかも、1語ないし2語の短い行となってしまうことです。読みやすさを求める組版上、避けることとされ、著者または編集者がそのパラグラフの文章から文意に影響のない語を削除して、そのページを1行減らして、前ページに送るなどの処置をすることになります。

つぎに、「オーファン (orphan) 」、つまり孤児ということですが、これは、そのページの最下行に小見出しのみ1行しか入らなかったり、パラグラフの最初の1行しかそのページに入らず、残りが次ページに送られてしまうことです。これも避けることとされています。

もうひとつ、「リバー」、つまり川ということですが、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。単語と単語の間のスペースは通常、小文字のi (アイ)の字1個分ですが、行末のハイフネーションの影響で、単語と単語の間、つまりワードスペースが広く空いて、それが数行にわたって続いてしまうと、そのホワイトスペースが目だって川のようにくねって見え、読みにくくなることを言います。新聞のように、編集のスピードが要求されたり、行長が短い場合はやむをえないこともありますが、じっくりと編集の時間がかけられる書籍や一流の雑誌には、ほとんど見られません。

さあ、以上の3つのルールを覚えて、お手元の英文書籍をちょっと覗いて見てください。